
アクリル塗料は外壁塗装には時代遅れ?
外壁塗装で使用される塗料の中で、安価なのはアクリルでウレタンやシリコンの塗料が高価な時代には広く使用されていました。
しかし、今ではウレタンとシリコン塗料が主流となっています。
アクリル塗料は、古い印象を抱きますが、その他にも一般化していない理由があります。こちらでは、アクリル塗料が主流塗料になれなかった理由を解説します。
アクリル塗料は外壁塗装向きでない理由に迫る
外壁塗装に用いられない理由
外壁塗装で使用可能な塗料は、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」の他に「フッ素」「遮熱」「光触媒」もあります。まず、それぞれの塗料価格相場や耐久性を比較してみましょう。
● 塗料比較
塗料名 |
平均平米単価 |
耐久性 |
アクリル |
1,000円~1,200円 |
約4年 |
ウレタン |
1,800円~2,000円 |
約6年 |
シリコン |
2,500円~3,500円 |
約13年 |
フッ素 |
3,500円~4,500円 |
約18年 |
遮熱 |
5,000円~5,500円 |
約18年 |
光触媒 |
5,000円~5,500円 |
約20年 |
上記の表を見る限り、ウレタン・シリコン塗料のリーズナブル化に伴い、費用的にアクリル塗料とほぼ変わりなく利用できます。
耐久性は、ウレタンが約6年・シリコンが約13年と長めなのです。「安くて長持ち」を実現させている2つの塗料は、外壁塗装で主流になるのもうなずけます。
また、アクリル塗料が用いられなくなった理由は、価格と耐久性に限った話ではありません。
- 塗料が硬いのでクラック(ひび割れ)が生じやすい
- 塗替えの頻度が多い
- 塗替え作業で剥離(はくり)や収縮の症状が起る場合がある
アクリル塗料は、リーズナブルに塗装を済ませられても、将来的な目線に立てば、コスパに難があるのは明白です。その特性から、アクリル塗料が外壁塗装で広く使用されなくなったのです。
ただ、アクリル塗料は外壁塗装ではデメリットばかり目立つわけではありません。
アクリル塗料が使用されるシーンとは?
・デザイン住宅(発色がよく、デザイン性が高い。目立たせたい部分だけ使用するというこも可能)
・5年以内に取り壊す予定の家(耐久年数以内なので、外壁塗装費用を安く抑えられる。)
「2高機能性」を参考
・耐火塗料としての利用(一般的なアクリル樹脂には耐火性がない。しかし、日本ペイントが開発した特殊なアクリル樹脂は、熱を加えた時に発泡して断熱層を形成することで内側を高温から保護する。)
性質的にも、アクリル塗料は一般化していないですが、全ての外壁塗装業者が使用していないわけではありません。
壁面の質感維持や保護目的で、塗料を用いられる場合があります。では、どんな目的で用いられるのかを見てみましょう。
耐久性を気にしない場所に用いる
紫外線や耐久性が劣るアクリル塗料は、軒天井や堀など天候的な影響を受けにくい箇所の保護に向いています。透湿性に優れているので、雨風による影響を防ぐのに一役買ってくれます。
新築の壁面状態変化を防ぐ
アクリル塗料は、モルタルを使用した新築住宅の壁を守るために用いられます。
実は、モルタル壁は伸縮する性質を持っているので、クラックが生じやすいのです。それを防ぐために業者判断で塗装時にアクリル塗料を持ち入ります。
火災時に鉄骨・鋼材を保護
アクリル塗料の中には、耐火性に優れたものがあるのはご存知でしょうか。
日本ペイント株式会社が販売しているアクリル塗料は、火災による熱から建物の鉄骨や鋼材を保護します。4mm程度の薄さの塗膜が発泡して密な断熱層を作り出し、火や熱が及ばないよう守ってくれるのです。
●耐久性に優れたアクリル塗料も誕生している
アクリル系塗料の中には、ピュアアクリル塗料という耐久性に優れたものもあります。
ピュアアクリルは、一般的なものとどう違うのでしょうか。
耐久性
- 一般的なもの⇨約4年
- ピュアアクリル塗料⇨約15年
大幅に塗料の耐久性の長期化が実現できた理由は、塗料の分子サイズで、一般的なものと比べて50倍あるいは100倍程の大きさとなっています。
分子サイズが大きいため、壁に塗っても結合箇所の少なさから太陽光による分子破壊による影響が軽減されます。
遮熱や防水性にも優れているのは勿論、アクリル本来の扱いやすさも有しているので、施工のしやすさも抜群です。また、塗替え作業も2回め以降は下塗り作業の手間が省けるので、将来的にかかるコストも最小限に抑えられます。
使い方次第で汎用性は拡大
DIYでも使用される程の手軽さと、色の再現性の高さ目立つアクリル塗料ですが、詳しく調べれば汎用性の高い塗料と言えます。要するに、使い道を把握すれば、住宅の質感・耐火性をアップさせらるのです。
アクリル塗料を塗装などで用いるなら、取り扱いメーカー別の特性、使い道を正しく把握しましょう。そうすれば、塗装施工にかかる、コストを上手く削れる可能性が高まります。